[No.555]『ア・カペラ』/トッド・ラングレン('85)

A Cappella/Todd Rundgren('85)
初めて聴いたときは、冒頭の「ブルー・オルフェウス」の途中で、ケチャみたいなコーラスが入ってびっくりしたものだ。それはともかくアルバム・タイトル通りに人の声中心のこうしたアプローチは今聴いても十分に興味深い。よく比較される山下達郎の一人アカペラとは違って、大勢でがっと声を出している感じ(レコーディングは一人らいしがライヴでは大勢のミュージシャンでい一斉に歌ったようだ)、ユーモラスなところ、さらには実験的な面と多くの要素が集まりながら結果はポップである、というおもしろさがある。

発表が85年だったことを確認した。どおりで打ち込みのドラムの音が80年代的だ。しかし、それはたいした問題ではなく、重要なのはやはりトッドのヴォーカルだ。一般的な意味の巧いではない、ポップス独特の上手さがある。心にぐっと来るといえばよいか。歌謡の心ですな。ヴォーカル中心のこのアルバムで彼の歌の良さを再確認した。

録音もさすがトッドと思わせるところが満載だ。ベース・パートの録り方などシンセ・ベース風の音色でユニークだ。ハーモニーというよりは、それぞれ勝手に出しているかのようなヴォーカルのかぶせ方も、合わせるという発想からは外れている。いかにも変な声を使いながらも、非常にポップなシングル向きの曲「サムシング・トゥ・フォール・バック・オン」をものにするなど、トッド節全開である。7曲目「ミラクル・イン・ザ・バザー」に至ってはプログレである。ア・カペラ・プログレ。

次のアルバム『ニアリー・ヒューマン』でさらに強まるソウル風味だが、90年ごろのライヴ映像を観たら女性3人組コーラスを従えたソウル・レビューという体裁だった。彼のソウルへの傾倒は昔からなのだが、かなりあからさまにその方向に向かったきっかけの一つが本作でのア・カペラ・アプローチだったのだろう。最近の動向がまったく分からないのだが、やはりチャックせねばならないアーティストである。

A Cappella
Rhino / Wea
1990-10-25
Todd Rundgren

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