映画『アメリカン・ユートピア』デヴィッド・バーン×スパイク・リー[No.1005]

映画『アメリカン・ユートピア』を観た。デヴィッド・バーンスパイク・リーという不思議な組み合わせ,見るからに怪しげなバンド・メンバーのヴィジュアル。一体どうなることかと,正直おっかなびっくり観に行った。すると,本編の前にデヴィッド・バーンスパイク・リーの対談が追加されているヴァージョンだった。おかげで本作品の成り立ちを理解でき,安心して本編を鑑賞することができた。

デヴィッド・バーンによると,まずコンサート・ツアーを行い,次にブロードウェイのショーとして公演した,それを映像で残したくてスパイク・リーに声をかけたということだった。バンドについては,ステージ上で人間そのものを観てほしいということで,機材やケーブルなどを排した。さらにドラムセットをばらしてバスドラム担当,ハイハット担当,シンバル担当といった具合に楽器を分担した。つまり,マーチング・スタイルの打楽器グループにして,自由に動き回れるようにした。それにより,何もないステージ上を縦横無尽に動き回りながら演奏することが可能になった。メンバーは全員同じコスチュームにして,振り付けもあり,バンドの動きに一体感を持たせたということだった。何故全員裸足なのかわからなかったが。

このライヴのための新作とトーキング・ヘッズ時代の曲がバランスよく配置されていて十分楽しめた。『リメイン・イン・ライト』以来顕著となったリズムの強化と多彩さは今回も存分に生かされていた。映画ということで言うと『ストップ・メイキング・センス』でのリズムの追求,映画『きっとここが帰る場所』での「This Must Be The Place」演奏シーンなどが思い出された。本作も当然演劇的要素がたっぷりで,動きに制約がなくなった分,それこそマーチングのように統制されたメンバーの移動も多く,観て楽しめるというあたりはデヴィッド・バーンの意図が上手く形となっていた。

スパイク・リーの演出がまた見事だった。観客が今どこを観ているかという視点に沿ったオーソドックスなカメラワークがよい。一方ではステージ後方から観客側に向けたカメラ,ステージ真上からの映像をとらえたカメラの映像が効果的に挿入されていた。スパイク・リーの良い仕事ぶりに感心させられた。

トーキング・ヘッズ時代の曲,「This Must Be The Place」「Once In A Lifetime」「Born Under Punches (The Heat Goes On)」「Burning Down The House」などはやはり心躍るものがあった。中でもアルバム最終作『Naked』収録「Blind」は嬉しい選曲だった。そして予想通り最後は「Road To Nowhere」。最初のコーラスが終わり楽器演奏が始まるところで思わず涙腺が緩んだ。本作に込めたデヴィッド・バーンの思いがこの最後の曲に表れていると考えると,歌詞の内容も心に迫るものがあった。

本作を小難しいと考える人もいるかもしれない。結局,白人のインテリが考える頭でっかちなものだという意見もあるだろう。しかしそれを上回るリズムの説得力とメンバーの一体感,何よりウキウキするビートに身を任せて楽しめばよい映画なのだ。
【映画パンフレット】アメリカン・ユートピア 監督 スパイク・リー 出演 デイヴィッド・バーン、ジャクリーン・アセヴェド
【映画パンフレット】アメリカン・ユートピア 監督 スパイク・リー 出演 デイヴィッド・バーン、ジャクリーン・アセヴェドアメリカン・ユートピア - デイヴィッド・バーン, デイヴィッド・バーン, ダニエル・ロパティン, ロデイド・マクドナルド
アメリカン・ユートピア - デイヴィッド・バーン, デイヴィッド・バーン, ダニエル・ロパティン, ロデイド・マクドナルド

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