ハード・ロックの名盤? ブルー・オイスター・カルト『タロットの呪い』[No.945]

たぶんまだ20代の頃,ハード・ロックのお薦めアルバムとして,ブルー・オイスター・カルト『タロットの呪い』がガイド本で紹介されていた。レッド・ツェッペリン,ディープ・パープル,ジェフ・ベック・グループ,シン・リジィ,チープ・トリック,フリー,エアロスミスなどは聴いていたので,期待して本作をCDで購入した。ところが聴いてみてもハード・ロックなのか?という疑問が頭から払拭できず,その後CDを手放してしまった過去がある。今回数十年ぶりにアナログ盤で聴き直してみた。そして本作の魅力をやっと理解できた。

実は,ブルー・オイスター・カルトについては数年前に『スペクターズ』をレコードで購入し愛聴してきた。A面1曲目に「ゴジラ」が入っているアルバムだ。したがって彼らの魅力は十分に理解していた。それを受けて『タロットの呪い』を聴いたのだから,良さがわかって当然である。しかも『タロットの呪い』『スペクターズ』の前年発表である。サウンドの傾向も似ている。どちらも彼らの代表作と言っていいだろう。

『タロットの呪い』からブルー・オイスター・カルトのポップ化が始まった。それが,若かった私には物足りなかった。もっとゴリゴリのハード・ロックが聴きたかったのだ。当時の嗜好に合致しなかったということである。爆音のギターを期待していたが,意外にポップな印象。キーボードも入っている。さらにメロディも思いの外,キャッチーに聴こえた。ヴォーカルもあまり激しさを感じられなかった。これが本作を当時理解できなかった理由だ。

現在の耳で聴いてみると,今挙げた要素がすべて本作の魅力になっていることがわかる。適度なポップさ,決してシャウトすることなく丁寧に歌うヴォーカル,時にハードに時に美しくもあるギター・プレイ。メロディーラインについては,レコードコレクターズ増刊『ハード&ヘヴィ』和久井光司が次のように説明している。「ライヴ盤が成功したご褒美でメンバー全員に4トラック・レコーダーが与えられ,バンド内で作曲熱が高まったおかげで粒揃いのナンバーが並んだらしいが,みんなしてヨーロッパ的な,濡れたメロディを書くのだから面白い。」これがポップ化の正体だったのだ。

『タロットの呪い』をハード・ロック名盤と紹介するのをやめた方がいいというのが今回の結論である。『タロットの呪い』ブルー・オイスター・カルトというユニークなバンドの代表作である。ハード・ロックという枠組みにはめずに聴いてほしい。私のようにならないために。
タロットの呪い - ブルー・オイスター・カルト
タロットの呪い - ブルー・オイスター・カルトスペクターズ(紙ジャケット仕様) - ブルー・オイスター・カルト
スペクターズ(紙ジャケット仕様) - ブルー・オイスター・カルト

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント