ストローブス『魔女の森から』[No.941]

ストローブスと言えば1972年発表の『グレイヴ・ニュー・ワールド』しか聴いたことがなかった。プログレと思って買ったが,割とポップなイメージで予想していたものとは違っていた。そんな彼らの1971年の『魔女の森から』をアナログ盤で購入した。本作の話題はリック・ウェイクマンの参加だ。華麗なキーボードが主役か,と思いレコードに針を落としてみると,これもまた予想を裏切るトラッド・ロックだった。

リック・ウェイクマンの厳かなオルガンに導かれて始まるA面1曲目は,3拍子のトラッド・ミュージックだ,と思ったらサビは教会での合唱の雰囲気。しかも曲の途中でフランジャーがかかりまくったオルガンのソロ。曲調がころころ変わる展開がプログレだ。これは一筋縄ではいかないアルバムだ,と期待が高まる。

使用する弦楽器もアコースティックギター以外にダルシマー,オートハープ,バンジョー,さらにはシタールまでと幅広い。リック・ウェイクマンのキーボードもオルガン以外にピアノ,チェレスタ,エレピ,ハープシコード,メロトロン,ムーグと多彩だ。基本的にトラッド・ミュージックに影響されながらも明るく優しいメロディを様々な楽器でバックアップしている。

曲名を見ると,「魔女の森」「絞首刑執行人と教皇主義者」「薔薇に囲まれて」など,いかにもトラッド的なタイトルが並ぶ。これに内ジャケットの宗教画でイメージ戦略は出来上がっている。しかし,やはり音の感触はロックである。ただしあまりビートは強調されない。クラシカルな雰囲気を残しつつもやっている音楽はロックというスタンスだ。

最もロックを感じさせるのがB面1曲目「羊」だ。B面最初でアルバムの雰囲気を変えるパターンである。曲調はボブ・ディラン「見張り塔からずっと」。アルバム中で一番ドラムのビートが感じられる。それでもやはり,曲の最後でペースを変えてソフトな展開を加えるところがこのバンドのプログレ度の高いところだ。

ここまで書いてきて気づいたのだが,何と私はこのアルバムをCDで持っていたのだった。買っておきながらあまり重要視していなかったようだ。CD購入当時の私は,まだこの音楽のユニークさを正しく捉えることはできなかったのだろう。自分の耳も肥えたものだと我ながら感心してしまったという次第。ストローブスは良い,と今なら断言できる。
魔女の森から+1(紙ジャケット仕様) - ストローブス
魔女の森から+1(紙ジャケット仕様) - ストローブスグレイヴ・ニュー・ワールド+2(紙ジャケット仕様) - ストローブス
グレイヴ・ニュー・ワールド+2(紙ジャケット仕様) - ストローブス

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