『未来のミライ』主題歌 山下達郎[No.835]

「僕らの夏の夢」以来2度目となる,細田守監督作の映画主題歌を山下達郎が手掛けた。今回はオープニングとエンディングの2曲を提供している。両A面扱いとのことだが,CDなのに両A面と呼ぶのか,では他の呼び方は何か,などと余計なことを考えてしまう。2曲のうちでは,「うたのきしゃ」が興味深い。久々の達郎節が炸裂している。それも70年代の終わりから,80年代前半の頃のテイストが感じられるのだ。

サビの「MUSIC TRAIN」の部分は,もろに「MUSIC BOOK」(82年作『FOR YOU』収録)を連想させる。歌詞だけではなく,メロディもサウンドもあの頃の感じが蘇っている。軽くファンキーで,しかし粘っこいところもある。近年の彼の書く曲はスローだったり,重苦しかったり,あっさりしていたり,という印象が強かった。今回は,彼の本領発揮と言えるアプローチだ。

思えば,アイズレー・ブラザースのサウンドを規範として,シュガー・ベイブ時代からずっと追求してきたファンキーな曲づくりである。2000年代に入ってからは,そのアプローチもやや影を潜め,別のサウンドを求めてきたと思われるだけに,今回の方向性は歓迎すべきだ。こういう達郎を聴きたかった,というファンも多いのではないだろうか。

シュガー・ベイブ時代の盟友,大貫妙子は以前,雑誌のインタビューで山下達郎と自身との音楽性の違いについて次のように話している。「山下くんのようにひとつのスタイルの音楽にこだわってず~っと我慢し続ける方法だってあるかもしれない。」レコード・コレクターズ1997年7月号)山下達郎の音楽性を的確に言い表している。したがって,彼が80年代前半の頃のサウンド・アプローチを復活させても何ら不思議ではないのだ。山下達郎の音楽はある意味では,ラモーンズキッスらと同じなのだ。不変であることはそれだけでひとつの武器になりうる。

ちなみに大貫妙子のインタビューは次のように続く。「マンネリって私にとってはやっぱり…悪ですよ(笑)。そういうこと続けてったら,絶対後悔すると思う。死ぬ前とかに(笑)。いやじゃないですか。そんなの。」二人の音楽性が分かりやすく指摘されていて興味深い。



ミライのテーマ / うたのきしゃ 【初回限定盤】
ワーナーミュージック・ジャパン
2018-07-11
山下達郎

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ミライのテーマ / うたのきしゃ 【初回限定盤】 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-
ワーナーミュージック・ジャパン
2015-08-05
SUGAR BABE

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition- の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



FOR YOU (フォー・ユー)
BMG JAPAN
2002-02-14
山下達郎

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by FOR YOU (フォー・ユー) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



Tint
SMJ
2015-06-10
大貫妙子&小松亮太

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by Tint の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


この記事へのコメント

この記事へのトラックバック