[No.619]『エレメント・オブ・ライト』/ロビン・ヒッチコック&ジ・エジプシャンズ('86)

Element Of Light/Robyn Hitchcock & The Egyptians('86)
ジ・エジプシャンズとのスタジオ盤2作目。ロビン・ヒッチコックらしいポップさをもった佳作。後の『クィーン・エルヴィス』はアメリカのカレッジ・チャートでヒットするような突き抜けたキャッチーさがあったが,本作はいかにもイギリス人らしいひねりのあるポップ・ロックを展開している。しかし,そこはロビン・ヒッチコックのこと,一筋縄ではいかない複雑さだ。

1曲目は,かなり普通に聞こえてしまう「イフ・ユー・ワー・ア・プリースト」のバンド・サウンドがストレートにロックしている。2曲目「ウィンチェスター」の漂うような揺れは,こちらが本筋なのだと教えているかのようだ。3曲目はイギリスのロックで良く出てくるブンチャ・ブンチャというリズムの速いヴァージョンだが,曲の感じはジョン・レノンだ。4曲目もジョン・レノン風のスロー・ナンバーで,ちょっと「ドント・レット・ミー・ダウン」を思わせる。5曲目「ザ・プレジント」はライヴ録音らしいが幾分ラフに力強く演奏される。

6曲目「レイモンド・チャンドラー・イヴニング」はギターのアルペジオがいかにもなフォーク・ロックというかギター・ポップというか。この感じは当時のアメリカ勢に通じる感覚ではないだろうか。続く「バス」はアップテンポでシングル曲だったのか。「エアスケイプ」では逆回転のギター・フレーズが炸裂するポップ・ナンバー。9曲目「ネヴァー・ストップ・ブリーディング」もギターのアルペジオに導かれて始まり,浮遊感いっぱいのサイケ・サウンド。10曲目「レディ・ウォーターズ・アンド・ザ・フーデッド・ワン」は,繰り返しのメロディでじわじわと盛り上げていくアルバム・ラスト・ナンバー。

ビートルズ,ボブ・ディラン,キャプテン・ビーフハート,シド・バレットからの影響を公言しているロビン・ヒッチコックは,どう転んでも普通のロックには成り得ないずれや歪みを内包している。それが彼の一番の魅力である。ソフト・ボーイズのファーストで聴かせた剥き出しのずれ具合が,ソロになってからは知らず知らずのうちににじみ出てしまう隠し味となっている。ポップなのになにやら変な感じは聴く者に不思議な感触を確実に残していく。

Element of Light (Spkg)
Yep Roc Records
2008-08-19
Robyn Hitchcock

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