[No.608]『3614 ジャクソン・ハイウェイ』/シェール('69)

3614 Jackson Highway/Cher('69)
噂には聞いていたがなかなか聴く機会の無かったこのアルバム。「新名盤探検隊」として日本盤で発売され,なんと1,200円という廉価盤。マッスル・ショールズ・サウンドの素晴らしさを,シェールのヴォーカルによって世に知らしめたスワンプ・ロックの名盤とされている。今回初めて聴いたのだが,その評判の意味がよく分かる名盤に仕上がっている。

収録曲の多くはカヴァー曲で,1曲目「フォー・ホワット」バッファロー・スプリングフィールドのオリジナルだが,アコースティック・スライド・ギターが実に良い雰囲気を醸し出している。3曲目はオーティス・レディング「ドック・オブ・ザ・ベイ」で落ち着いた演奏にホーンが被さる。4,5曲目はボブ・ディランのカヴァーで,リズムといい,ホーン・セクションといいアトランティック・ソウル系統のサウンドが心地よい。

ドクター・ジョン「アイ・ウォーク・オン・ギルテッド・スプリンターズ」は呪術的傑作アルバム『グリ・グリ』からの意外なカヴァー。ポール・ウェラーもカヴァーしていたことを思い出す。10曲目の「ドゥ・ライト・ウーマン,ドゥー・ライト・マン」アレサ・フランクリンのカヴァーで,ほぼ原曲通りのアレンジで,本作で志向する方向そのものを分かりやすく体現している。

シェールと言えば,ソニー&シェールとしての活動からソロとしての方向性を模索していた時期にこの企画が持ち上がったようだ。サウンドの革新性は今では大きく評価されているものの,セールス的には決して満足のいくものではなかった。しかし,この当時,ロックが目指す方向性を示した点やシェール自身のヴォーカル表現の幅を広げた点において,本作の価値は決して揺らぐものではない。なにしろバックのミュージシャンの集中力がガンガン伝わってくる。今回の日本盤の発売によって,私のように本盤を知らなかった多くの人に聴かれることを祈る。

3614 ジャクソン・ハイウェイ
ワーナーミュージック・ジャパン
2013-04-10
シェール

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この記事へのコメント

2013年04月29日 17:57
おお!ギニーさんも取り上げてましたね。これは本当に隠れた名盤に相応しいアルバムだと思います!名盤探検隊シリーズ、目が離せません!
2013年04月29日 19:07
バックの演奏にシェールがきっちり応えたヴォーカルを聴かせているところが名盤の所以なのだと思います。でもこのアルバムには驚かされました。名盤探検隊恐るべし!

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