[No.582]『ザ・プリムソウルズ』('81)

The Plimsouls('81)
これまであまり手を出してこなかったパワー・ポップというジャンル分けで紹介されているアーティストを最近集めている。納得いくものもあるが、たいしたことのないバンドもある。そんな中でザ・プリムソウルズのファースト・アルバムは、1曲目を聴いてすぐ、これはいい、とわかるレコードだった。他の冴えないパワー・ポップ・バンドとは何が違うのだろうか。

ザ・プリムソウルズは1980年にロサンゼルスで結成されている。ザ・ナーヴス出身のピーター・ケイスがヴォーカル兼ギターを務める。まず他バンドとの違いはピーター・ケイスのソウルフルなヴォーカルだ。パンク・バンドのような荒い歌ではなく、ポップな甘い声でもない。力強くR&B感覚に溢れている。そして上手い。

サウンドは切れ味が良く、パンク通過後のスピード感も持ち合わせている。60年代イギリスのビート・バンド的なのだ。それはつまりサウンドの根底にR&Bが流れているということだ。事実オープニング・ナンバーの「ロスト・タイム」はホーン入りのソウル・ロック・ナンバーなのだ。ビート・バンド的ということは当然ガレージ・パンクの味わいも持ち合わせている。この辺りが他のパワー・ポップ連中と一線を画するところだろう。

ザ・プリムソウルズの音楽は、50年代ロックン・ロール、R&B、ブリティッシュ・ビート、ガレージ・パンクといった先達のロック魂を確かに受け継いでいる。それでいて書く曲は自然にポップになる。それがザ・プリムソウルズのロックのあり方だ。一方、ロックというよりも、例えばポール・マッカートニーの持つポップさやラズベリーズエリック・カルメンが書くメロディ・ラインを再現したい心でロックをやっているのがパワー・ポップ連中には多いようだ。それらも悪くはないが、ポップ・ミュージシャンがロックをやっているバンドよりは、ロックをやっているが自然にポップな曲を書くバンドの方に魅力を感じる。ザ・プリムソウルズは後者だ。初期のザ・フー、ビッグ・スター、チープ・トリックらも完全に後者だ。

パワー・ポップという言葉で全て一緒くたにされているが、そもそもの立脚点が違うのだ。ザ・プリムソウルズのような硬派なバンドがあればもっと聴いてみたい。

The Plimsouls... Plus
Rhino / Wea
1992-09-01
Plimsouls

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この記事へのコメント

2012年12月19日 21:46
プリムソウルズ、ピーター・ケイスのソロも良いですね。あとロックをやっているが自然にポップな曲を書くバンド・・・ということですが、スミザリーンズやレッド・クロスなんかはどうでしょうか?
2012年12月20日 20:56
スミザリーンズはロックの基本がしっかりしている良いバンドです。ブリティッシュの香りがするアメリカのバンドは深みがありますね。レッド・クロスは名前は知っていますが聴いたことがないので、今度チェックしてみます。

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