[No.573]『ファニー・カンパニー』/ファニー・カンパニー('73)

桑名正博が亡くなった。病状からして復帰は無理だろうと思っていたが、入院して104日目のことだった。入院当初は「余命は最大3日」との診断だったのだが、驚異の生命力で持ちこたえていたようだ。世代的には「セクシャルバイオレットNo.1」のヒットとチリチリ・ヘアーのイメージなのだが、その後それ以前のソロ作やファニー・カンパニーの楽曲を聴くにつけ、日本ロック界の偉大なヴォーカリストという認識へと変わっていった。

本作は2枚しかないファニー・カンパニーのアルバムの1枚目。奇しくも今年、紙ジャケットにボーナス・トラック追加という仕様で再発されたところだった。ここでの桑名正博の歌唱は正にロック・ヴォーカリストという言葉がぴったりとはまる。「ラヴ・ジェネーレーション1966-1979」という日本のロックを紹介する本の中で、大鷹俊一「とくに才能を感じさせたのが、歌やギターということよりまずフレーズの合間に発するかけ声やシャウトを入れる感覚だった」と指摘していた。本作を聴くと正しくその通りであることが確認できる。現代ならともかく73年当時において、これほど自然にロック的感覚で歌えるヴォーカリストは少なかっただろうことが予想できる。

代表作「スウィート・ホーム大阪」は、関西弁でもロックを歌えることを証明し、関西ロック界に大きな影響を与えたと言われている。また、元ネタが「スウィート・ホーム・シカゴ」であることから、関西ブルース・ロック・シーンの火付け役という説もある(ライナーノーツによる)。バンドの先駆性を証明するエピソードだ。

栄孝志による達者なギター・プレイも聴き物の一つ。同様に西哲也の締まりのあるドラムスが本作の成功に大きく貢献している。バンドとしても力量のある本格派だったのだ。

「僕もそのうち」では「僕もそのうち死んでしまう 泣いたり笑ったりするのは今 できることは精一杯しよう」と歌われる。今年デビュー40周年記念でライヴ・ツアーを敢行していた桑名正博は正にこんな心境だったかもしれない。冥福を祈る。

ファニー・カンパニー + 5 Tracks
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2012-07-21
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