[No.441]『シングルズ・ゴーイング・ステディ』/バズコックス('79)

Singles Going Steady/Buzzcocks('79)。
自分の原点の一つであるアルバム。UKパンクの中でも飛び抜けてポップでスピーディーな楽曲を聴かせてくれたバズコックス。3枚のオリジナル・アルバム以上にポップ方向に振れたシングル曲ばかりを集めた本作は、もう一枚のオリジナル・アルバムと呼ばれたほど内容的に優れていた。なにより当時のシングル曲のA面曲、B面曲の全てを発表順に収録したまさしくシングル・ベスト盤だった。ポップさに重点を置いたシングル曲集という点が私の心をがっちりとらえて離さなかったのだ。

元々初期のUKパンクは、曲そのものはかなり分かりやすくヒット性のあるメロディ・ラインも少なくなかった。大物ロック・ミュージシャンに敵意を剥き出しにしていたものの、その音楽性はロック、ポップスの伝統に沿った歌ものだったのだ。その中にあってバズコックスのシングル曲は特にポップなメロディをもっていた。よくラモーンズと比較されるのは、キャッチーなメロディとスピード感に共通するところがあるからだろう。

サウンド面ではギター二人がコードやリフ中心のプレイをしているところも好感が持てた。たまに弾くギター・ソロが単音弾きのかなり情けない旋律なのもポップなパンクらしかった。スタジオ録音にもかかわらずドラムはかなりモタっている。要するに技術的には未熟だったのだ。当時のライヴ盤を数枚持っているが、明らかに音を外すギター・プレイを聴くにつけ下手であることは明白だ。2008年に出た30周年記念ライヴ・アルバム『30』の演奏でも、正直ギターの腕前は上達しているとは思えなかった。ピート・シェリースティーヴ・ディグルも演奏技術を上げることに興味はなさそうだ。

楽曲のポップさとコード、リフ中心の2人のギター、技術は二の次という姿勢。これらの要素はそのまま私にとってのロックの典型になった。今にして思えばキャッチーなメロディーの歌が中心にあることを求める感覚は、歌謡曲やニュー・ミュージックによって小学生の頃から知らず知らずのうちに自分の中に浸透していたのだろう。もっと歴史を辿れば日本人は器楽演奏よりも歌に重きを置く国民性だったということになるのだが、それはまた別の機会に。

ある程度の年数を経るとミュージシャンもリスナーも、自分がもっとも多感な頃に聴いた音楽へ回帰していくとよく言われる。だとしたら私が回帰するのはメロディーのはっきりした、演奏が上手ではないパンクかニュー・ウェーヴということになるだろう。中でもバズコックス『シングルズ・ゴーイング・ステディ』は別格扱いだ。

Singles Going Steady
Emd Int'l
2001-07-11
Buzzcocks

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この記事へのコメント

2011年03月31日 22:20
バズコックスはファーストとベストしか持ってないですが、このシングル集はほしくなりました。探してみよう!!

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