[No/439]『カバーズ』/RCサクセション('88)

福島原発のニュースを見るにつけ、どうしてもこのアルバムで清志郎が歌ったことが頭をよぎる。
”それでもTVは言っている/「日本の原発は安全です」/さっぱりわかんねえ 根拠がねえ/これが最後のサマータイム・ブルース”。
この曲が親会社に電力会社を持つ東芝EMIからの発売中止をもたらした。「素晴らしすぎて発売できません」という広告が出たのは有名な話だ。結局キティレコードから発売され彼らの初となるオリコン・チャートNo.1を記録するヒットとなった。

”電力は余ってる 要らねえ もう要らねぇ/原子力は要らねえ 危ねえ 欲しくねえ”。
清志郎はユーモアを含んで歌っているので、真っ正面から批判するメッセージ・ソングという印象はないし、切実な心の叫びというわけでもない。サウンドも軽めの仕上がりでむしろおふざけ半分的なノリだ。このバランス感覚が清志郎というトリックスターならではの立ち位置だ。このアルバムが、そもそも好きな洋楽を並べたパーティー・アルバムをねらうという意図があったことが思い起こされる。清志郎は、当初ザ・バンド『ムーンドッグ・マチネー』のような楽しいオールディーズ・アルバムを想定していたという。

「ラヴ・ミー・テンダー」には反核のメッセージが歌われているが、「サマータイム・ブルース」と合わせて聴くと、おおざっぱに言うと核兵器と同列の原子力発電所がこの日本に存在することの矛盾を指摘しているように思える。「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則の我が国に、原子力発電所が存在するのはおかしいだろう、という割と素朴な疑問を投げかけている。しかし、被爆の恐怖が表面化した今、原子力発電所とは清志郎が言うような存在だったのだと、我々は分かっちゃいたけど、やっぱりそういうことなのだと認識を新たにした。

”何 言ってんだー ふざけんじゃねぇー/核などいらねぇ/何 言ってんだー よせよ/だませやしねぇ”

原子力発電所周辺に住む人々、命をかけて放水作業に臨んでいる方々の健康を祈るばかりである。

カバーズ
USMジャパン
2005-11-23
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この記事へのコメント

偉大なる詐欺師
2011年03月21日 19:21
今回の騒動で家財がシェイクされ、掃除をしていたら清志郎が当地で行ったコンサートの半券が出てきた。この年も大きな災厄があった年だったと思うが、いち早く「ヘリコプター」のような曲を作ってくれた。”自分たちにできる事から”はよく聞く言葉となったが、”出来る事”の手本のような快挙だと思う。
2011年03月25日 08:42
今頃、天国の清志郎は「そら見たことカッ!!」って言ってるぜッ。原発の危険性について、政府の対応の悪さについてもっとみんな声を大にしてもいいんじゃないかな。ともかく被災地の方々が一日も早く平穏な日々がおくれるようにやれることをやらなきゃね。

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