[No.357]ウェイク・アップ・デッド/メガデス('86)

'Wake Up Dead'/Megadeth('86)。
アメリカのスラッシュ・メタルは基本的には苦手なジャンルだが、メガデス『ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング?』は聴きやすい。むやみに速いビートを多用することなく、ハード・ロック的なエッセンスが上手く吸収されているところに好感が持てる。曲の構成に変化を持たせていて、タイミングを巧みにずらしたギター・リフがアクセントになっている。ギターの音色や刻み方は紛れもなくメタルなのだが、アレンジの多様性によって、メタルという狭い枠にとらわれない普遍的なロックを生み出すことに成功している。
1曲目の「ウェイク・アップ・デッド」で気の利いたアレンジのセンスを感じ取ったならば、あとはラストまで一気に聴きとおすことができるだろう。ギター・リフがよく工夫されていて、ドラムのビートの裏側に入り込むタイミングで刻まれている。この部分にはレッド・ツェッペリンが得意としたリズムのずらしに通じるものを一瞬感じるが、さすがにレッド・ツェッペリンほどの不思議なタイム感までには至っていない。部分的に変拍子になるような強引さがあればいいのだが、そういう方向にはメガデスは向かってはいない。それよりも一曲の中でのテンポ・チェンジやノリの変化を求めている曲構成なのだ。この1曲目で「おやっ」と思わされたら、メガデスの勝ちなのだ。
メタリカを首になったデイヴ・ムステインが、ジャズ/フュージョン出身のギタリストとドラマーを集めて結成したバンドだけあって一筋縄ではいかない演奏ぶりだ。デイヴ・ムステインは自ら「インテクチュアル・スラッシュ・メタル」と称して、知性派のスラッシュ・メタルを標榜したそうだが、サウンド面ではその意図は十分に伝わってくる。ヴォーカル・スタイルはあまり知性派とは思えないが、金切り声でシャウトするタイプではないのでまあ良しとしよう。
メタリカ、スレイヤー、アンスラックス、メガデスをスラッシュ・メタル四天王と呼んだらしいが、もっとも自然に聴けるのがメガデスではないだろうか。とはいえ、このアルバム以外を聴いたことがないので、あくまで『ピース・セルズ…バット・フーズ・バイイング?』に限った話である。例えば、スラッシュ・メタル以前のロック・クラシックへの目配せとしてジェフ・ベック「迷信嫌い」を比較的ストレートなアレンジでカヴァーしているあたりは注目に値する。古いロックへの素直な尊敬の念がデイヴ・ムステインのロック・ミュージシャンとしての根底に流れていることを確認できる。もっとも曲の最後には速いスラッシュ・メタル・ビートが登場するのだが。
ところで、このアルバムの頃はまだマーティ・フリードマンは加入していないし、大ヒットを記録するのもこの後のことだ。メロディアスな曲などなしで、全編ガリガリしたナンバーばかりなのが嬉しいところだ。

ピース・セルズ...バット・フーズ・バイイング?(紙ジャケット仕様)
EMIミュージック・ジャパン
2008-10-29
メガデス

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