[No.324]Rose Garden/矢野顕子('09)

どんな演奏形態であろうと、この曲の持つ突き抜けたパワーは変わることがない。まずはオリジナルの『ただいま。』収録スタジオ・ヴァージョン。この妙な高揚感はなんだろう。初めて聴いたとき、独特なビートが生み出す異様なパワーに圧倒されたのを思い出す。人工的なようなどこかの国にあるかもしれないような変なノリは今聴いてもインパクト強し。
続いて「出前コンサート」の会場で生で聴いたピアノ弾き語りヴァージョン。リズム・アタックの強さは衝撃的だった。あの強力なオリジナル・ヴァージョンのビートをピアノのみで表現しきれる矢野顕子のすごさを改めて感じた瞬間だった。しかも決してスタジオ録音に負けていない強靱さを持ち合わせた演奏だっただけに、心に強く残っている。
そして、今回ライヴDVD『akiko -LIVE2008』に収録のおまけCDでまたも 'Rose Garden' に出会うことになった。知る人ぞ知るギタリスト、マーク・リボーとのコラボレーションだ。マーク・リボーと言えば、これまた超個性派ギタリスト、DNA初期のステージではチューニングすら知らなかったという伝説のアート・リンゼイの後釜に座ったラウンジ・リザーズでの演奏や、トム・ウェイツの名作『レイン・ドッグ』でのプレイで注目されたギタリストだ。
そのマーク・リボー矢野顕子のユニットは、これがまた凄い演奏になっている。本来強力なパワーを秘めた楽曲だけに、矢野顕子本人の弾き語りでも十分のその力を発揮する曲なのだが、そこにマーク・リボーという個性派ギタリストをパートナーとすることで、そのパワーを倍加することに成功している。矢野顕子のピアノに呼応してマーク・リボーがフレーズを返していくと、矢野顕子もそれを受けてさらに演奏が高まる。そんな競演というにふさわしい演奏が収められているのだ。ピアノとエレキ・ギターというそれぞれの楽器を武器にして、二人が渡り合ってる真剣勝負が展開されているのだが、相手を倒してやろうという敵意に満ちたものではなく、互いの演奏が相手の脳波に刺激を与えて共に高めあっていくような内容なのだ。この競演はまさにバトルであり、相手の力を受けて己がさらにパワーアップするという絶妙な化学反応を起こす場でもある。
この曲を聴くと、私が矢野顕子の音楽を聴き続けている理由の一つがこれであると言わずにはおれない。デビュー作『ジャパニーズ・ガール』以来、彼女の資質である飛び抜けたパワーにふれることが矢野顕子を聴く楽しみの一つであるのは間違いない。
バンド・スタイルでも、ピアノ弾き語りでも、ギターとの競演でも、どんな形態でもパワーを損なうことがない'Rose Garden'は凄まじいまでの力を秘めたナンバーといえよう。矢野顕子の代表作というには一般性に欠けるきらいはあるが、これは彼女が作り出した恐るべき楽曲である。どんなヴァージョンであっても心して聴いてほしい。

AKIKO-LIVE 2008- [DVD]
YAMAHA MUSIC COMMUNICATIONS
2009-10-21

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